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陽向の恋
第2章 ニ

 ……――ああ、懐かしい。そんな事もあったな。

 あれから7年。25歳になった私は、マンションの浴室を出て寝室へ戻りながら、昔を思い出していた。

 パジャマ姿で、濡れた髪を肩にかけたタオルで拭きながら、寝室のドアを開ける。

 するとすぐに、ベッドで仰向けに寝そべっている陽向の姿が視界に写った。スウェット姿で携帯を見ながら、お風呂上がりのゴロゴロタイム中だった陽向は、私に気付くと私の方へ目をやる。

「苗ちゃん、お風呂上がった?」

「うん」

 中学三年生だった陽向もあれから、もう22歳。二人とも良い大人に成長し、高校を卒業した後、同じ会社にも就職した。私は事務で、陽向は営業。先に就職した私を、陽向が絶対一緒が良いと言って追い掛けた形だ。

 何故なら陽向は――……

「じゃあ、早くここ来て」

「うん」

 ……私にゾッコンらしい。

 自分の隣を陽向がポンポンと叩くと、私は頷きながらベッドに寝そべる。

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