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会員制秘密趣向倶楽部 ~お好きなプレイを~
第5章 執事男
「詩織ちゃん。この方なんだけど。大丈夫かしら?」
夜になって、涼子さんが珍しく伺うように訊いてくる。
「あっ……。はい。大丈夫です」
「本当は、そういった専門の業者を呼んでくれればいいんだけど……。お断りも出来ないし……」
涼子さんがグチをこぼすなんて、本当に珍しい。
「本当に大丈夫です。そんなにハードじゃないし」
「じゃあ……。お願いね」
初めて行った時、客の嗜好などを涼子さんにだけ報告する。でも、彼の所へ行くのは五回目。別に嫌な嗜好では無い。
と言うか、どんな嗜好でも楽しみ方はそれぞれ。普通のセックスなんて、世の中に有り得ないとさえ思えてきている。
奥の更衣室で準備をして、店を出た。
彼のマンションまでは、タクシーで二十分程。
マンションで彼の部屋ナンバーを入力し、「ただいま」と言う。
すぐに自動ドアが開き、奥のエレベーターに乗り込んだ。
六回で降り、ピンヒールの音を響かせながら彼のドアの前まで行く。
また「ただいま」と言いながら、自分の部屋のように入っていく。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
背が高く、細見の男性。彼が依頼人。
燕尾服に蝶ネクタイ姿で、私のバッグを受け取る。
初めてここに来た後、ネットで執事について調べた。
今の日本の執事は、燕尾服を着ないらしい。それは、要人だと周りに悟られないようにする為。でもこの部屋だけの中なら、そんな必要もないだろう。
そう広くないマンションだがここは別宅らしく、都内の豪邸で奥さんと子供達と暮らしている。
私が知っているのはここまで。
でもこのマンションは家族に秘密らしく、これからのプレイの為にかりているようだ。
「着替えるから、手伝って」
「はい。お嬢様」
この部屋に入ると、私はお嬢様。彼は執事。
そんなプレイが出来るのは、店でも私だけ。
彼も私を気に入り、毎回指名してくれていた。
実際は二十七歳でも二十代前半には見えるし、スタイルには自信がある。
Fカップに、自慢の細いウエスト。丁度いいヒップの大きさ。
私はいつも通り、奥の寝室へ向かった。
高級マンションではあっても、2LDK。
使うのは殆ど寝室だけ。
「お嬢様、どうぞ」