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僕の彩芽
第10章 十

「豪……!あんたいたの?!」

「いるに決まってんだろ!一緒に住んでんだから!起きて良かったわ!秋人さんに悪さしてからにぃぃぃ!」

「悪さ……?」

 そういえば私今、秋人さんにキスした?!何で?!気付くと頭がぼーっとして、体が勝手に動いてた……。

「豪、いたのか」

「いますよ!秋人さんまでひでーっす!」

「最近仕事の疲れがたまってぼーっとしてんだ。わりぃな。今ポチが癒してくれてたとこだ」

「彩芽が?癒す……?」

 淡々と秋人さんが話すと、豪は不思議そうに私の方を見て首を傾げた。

「こいつ、使い物にならないっすよ?」

「そんな事はない。俺を一番癒してくれるのはポチだ」

「ちょ……そんな事言って、秋人さんどうしちゃったんですか?!」

 秋人さんが私の頭を撫でると、豪が悲鳴を上げる。

「うわぁぁぁ!秋人さん!何が起きたんですか!そいつはただの使い物にならない奴っすよ!そんな、可愛がらないでくださいよ!」

 嫉妬だ。秋人さんから頭を撫でられる私に嫉妬してる。……けど、そんな豪にお構い無く、秋人さんは私を太腿に座らせ、優しく腰に両手を回した。

「ペットを可愛がって何が悪いんだ?」

「秋人さん、本当にどうしちゃったんですか……使い物にならないって言ってたじゃないですか……」

「使い物にならねーのはお前だろ?気に入らないなら、出ていくか?」

「そんな……」

 秋人さんから冷たく睨み付けられて、豪は目に涙を溜める。

……言い過ぎじゃないだろうか。豪は秋人さんが好きなのに。好きな人から冷たくされて、豪はショックな筈……。



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