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僕の彩芽
第7章 七

 ……――その後4時になると、秋人さんは仕事へ出て行った。部屋には豪と二人きり。気まずいにも程がある。豪はリビングのソファに座りながら、機嫌良く鼻歌を歌っている。

「ふんふんふんふーん」

「豪、仕事何時から?」

「18時から!」

「あ、そう……」
 
 早く行けよ――

「豪の仕事って何するの?」

 キッチンで冷蔵庫から牛乳を出しながら、私は素朴な質問をする。相変わらずリビングからは、ロックな鼻歌が聞こえてくる。

「ウルトラソウルっ!」

「ねえ、仕事何してるのって聞いてるんだけど」

「あ?俺の仕事は受付とかニューハーフ達の送迎とか。何だ?興味あんのか?」

「受付と送迎……ニューハーフの格好してお客にご奉仕する方じゃないんだ……」

 てっきりご奉仕する方だと思ってた!ホモだし!

「俺は秋人さんにしか捧げねーよ。そういえばお前は、昨日即効秋人さんに迎え来られたらしいじゃん。怒られたろ?バカだな」

「豪、昨日いたんだから止めてくれても良かったじゃん!蝶子さんに誘われるの!」

「は?何で俺が。お前がどうなろうと興味ねーし」

 ソファに座ってテレビから視線を変えず、此方を少しも見ない。そんな豪に苛立つと同時、続けて話し掛けられる。

「彩芽、500万貯めたいんだろ?」

「貯めたいよ……でも、エルも結局働けなくなっちゃった……」

「俺が金貸してやろうか?」

「えっ……」

 何で急に……。豪がお金貸してくれるの?でも、何で……。怪しいんだけど。


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