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くすくす姫の誕生日(くすくす姫後日談・その4)
第1章 熱の明くる日
スグリ姫27歳のお誕生日前の謁見…の、やり直しの朝のことです。
スグリ姫は鏡台の前に座り、自分を見ながら嘆いていました。

「ううう…うー…」
「姫様、顔上げて下さい。ただでさえ長さがちぐはぐな髪が、ますます結いにくくなるんで」
「う…バンシルぅ…」
悲しいのか恥ずかしいのか分からない、ぐちゃぐちゃな気持ちで俯いていたスグリ姫は、バンシルに向かって泣き言を言いました。

「…どうしよう…歯型ぁ…まだくっきり…」
スグリ姫は鏡の中の自分の肩の変わらぬ惨状を見て、眉を八の字に寄せました。
「大丈夫です、姫様。」
バンシルはスグリ姫の髪にブラシをかけながら言いました。
「どっちにしても、虫さされの痕がありますから。もともと肩が隠れる服しか着られません。」
「…それ、大丈夫って言うのかしら…」
バンシルは、姫のばらばらになりそうな髪を、巧みに結っています。
「まあ、見られたところで、どうってことないですよ。まさか、姫様の誕生日がもうすぐなのにこんなことする大馬鹿野郎がこの世に居るとは、誰も思いませんよ。」
「そうかしらっ」
ぶうっと膨れっ面になった姫の髪を仕上げながら、バンシルは全然慰めにならない慰めを言いました。

「そうですねえ…せいぜい思ったとしても、虫刺されが酷く悪化したのか、もう一度物凄く質の悪い虫に追加で刺されて可哀想にと思う程度……だったら良いですね。」
バンシルは虫刺され痕に追加された歯型と鬱血痕を見て、やれやれ、と溜息を吐きました。
「歯型の主は、今どうしてるんですか?」
「寝てる。熱はだいぶ下がったみたいだけど、まだあるみたい」
熱があるのに帰ってきた日に無理なことしたから、とは言えず、姫は膨れっ面のまま赤くなりました。
「お誕生日の晩餐までには下がるんですかね、熱。」
スグリ姫の誕生日までは、まだ数日あります。
「分かんないけど、大人しくしてれば、多分…でも、晩餐は死んでも出るって言ってた」
「普通、死んだら出られませんね。」
「そうよねー。無理したら、あっちに帰れなくなっちゃうのに」
姫の決心が付いた今、今度こそ近々一緒に帰れる筈なのですが。
「まあ、良いんじゃないですか。自業自得って奴ですよ、いい薬です。…はい、出来上がりましたよ。」
「ありがと、バンシル。」

そうして姫はご両親に会うために、バンシルと二人で、首の詰まった服を選び始めました。
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