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くすくす姫の誕生日(くすくす姫後日談・その4)
第2章 まだ「お誕生日」の来てない日
「戻った最初に、うっかり『あんまり危ねぇことすると、スグリが心配するかもな』って言ったんだよ。
そしたらそのあと事ある毎に、食わなきゃ『スグリ姫様にお痩せになったと言われますよ』だの、寝ねぇと『スグリ姫様が心配されますよ』だの…人の女をほいほい気軽に使いやがって、」
「…ちょっと!?」
スグリ姫は自分が居ないところで交わされていたという自分の話を、気恥ずかしくも嬉しい気持ちで聞いていました。
…が、話を反芻しかけたところで、気になる言葉に気がつきました。

「何だ?」
姫の首筋に顔を埋めて、手を服の隙間から器用に忍ばせて柔らかさを楽しんでいたサクナは、急に姫が振り向いたので、軽く眉を寄せました。
「危ないことって、何っ!?」
「…………あ。」
しまった、という顔になったサクナは、涙目で睨む姫から顔を逸らして、ぼそっと呟きました。
「うっかりは本当に移りやがるんだな…」
サクナは溜め息を吐くと、服の内側から手を抜いて、姫の体を抱き寄せました。

「心配すんな。危ねぇ事になる前に済んだ。」
「でも」
「…どこも怪我も何もしてねぇだろ?」
姫の髪を撫で、そこに口づけを落として、サクナは少し笑いました。
「また、触って確かめてみるか?」
「ううん…」
サクナが姫の前で初めてシャツを脱いだ日のことで姫をからかうと、姫はサクナのシャツを両手で握りました。
「…これも、脱いで?…それから、沢山ぎゅってして。」

居ない間に有ったことは、サクナの言う通り、終わった事です。
自分がそこに居なかった時の、終わった事であったとしても、自分がサクナの役に立ったというのなら、それは二人で一緒に過ごした時間が作ったものである筈でした。

「脱いで、ぎゅってして。…今度のは、おねだりよ。」
「…御心のままに、スグリ姫様。」
恋人達は微笑み合って、二人で過ごす時間を堪能するための、始まりの口づけを交わしました。

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