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くすくす姫の誕生日(くすくす姫後日談・その4)
第3章 初めての夜ば…もとい、「お誕生日」の贈り物
「笑って誤魔化すの止めてください。…分かりました。」
「ほんと!?」
「仕方ありません。これも私からのお誕生日の贈り物の一つだと思ってくださいね。」
「はーい!!ありがと、バンシル!!」
やったー夜這い!と小声で喜ぶ姫を見て、この姫様はいつになったら姫らしくなるのだろうかと、バンシルは思いました。

「朝には戻ってくださいよ。戻ってなかったら婚約者様の部屋に居るってバラしますよ。」
「はーいっ!!朝には戻りまーす!!」
姫があまりにも能天気にうきうきしているので、ちょっと釘を刺しておこう、と、バンシルは一言、言い添えました。

「……お妃様に、バラしますから。」

「ひぇっ!!」
はぁーい、と項垂れる姫を見たバンシルは、この姫様はきっといつまでもこのままだろうと、くすりと薄く笑いました。

「あ。それから、」
もうひとつ釘を刺さねばならない事を思い出し、バンシルは少し考えてから、口を開きました。

「『仲良くする』のは、ほどほどにして下さい。」
「へ?夜這いって、仲良くしちゃ、だめなの?」
仲悪くないと駄目なもの?と姫が真顔で言ったので、バンシルは頭が痛くなってきました。

「…人が、気を遣ってやんわり言って差し上げたのに、台無しですね…!!!ヤられ過ぎて足腰立たないようにならないでくださいって言ってんですよ!!!」
「あ?…あー。…あははー…うん、分かった…」
そこまで言われてやっと分かったらしいスグリ姫は、ほんのり赤くなりながら、えへっと笑いました。

「今の台詞、確か『最初』の時は、婚約者様の方に言ったんですよ…」
バンシルはこめかみを押さえながら、何だって自分はいつもこの二人に下世話な台詞ばかり吐かされているのだろう、と思いました。

「なんか、ほんとに、あの時みたいね。」
「…今はもう、公式の非公式ですけどね。」
とんでもないことをやらかした非公式のあの日から月日が経って、とんでもないことをしようとしていても公式に格上げになった今を思って、姫と侍女とは、くすっと微笑み合いました。

「行ってきます、バンシル。」
「行ってらっしゃいませ。婚約者様にくれぐれも宜しくお伝えくださいな。」

こうして姫は27歳の誕生日の前の夜に、侍女黙認の初めての夜這いへと、赴くことになったのでした。
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