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くすくす姫の誕生日(くすくす姫後日談・その4)
第4章 スグリ姫の「お誕生日」
「姫様?気が済まれたらお支度しますよ。」
「…うん。」
「お花、明日になったら綺麗なのを少し選んで、マイスター様の果物みたいに、乾かして瓶詰めにしましょうね。」
「…ん。」
それでも離れない姫に、バンシルは苦笑混じりに言いました。

「あんまりのんびりされてると、その指輪の送り主様が、痺れを切らして乗り込んできますよ。」
「……気がついてたの?」
「そりゃあ気がつきますよ。お誕生日の贈り物ですか?良かったですね。」
「うん…」
姫はバンシルをぎゅっと一回抱き締めて、離れて、えへっと笑いました。
そうして、生まれてすぐから一緒に育った、乳兄弟でも幼なじみでもある二人は、特別な日の為の支度をすることにしたのでした。


身繕いとお化粧をしたスグリ姫は、髪を仕上げの手前まで結って貰い、今日の為に仕立てたシャンパン色で真珠のように輝くドレスに着替えました。
それから、サクナに貰ったお誕生日の贈り物を取り出しました。

「バンシル。これを着けたいんだけど、良いかしら?」
スグリ姫は包みを解いて蓋を開け、中をバンシルに見せました。
「まあ…これは…」
バンシルは箱と中身を見て、唸りました。

「大層見事な物でございますね…」
「ほんと?バンシルもそう思う?」
「ええ。指輪とお揃いなんですね。」
「うん。」
スグリ姫は右手の指輪を眺めると、大事そうに撫でました。
「それは何よりの贈り物ですね。…あの後虫に刺されてないのも、何よりです。」
「ふふっ」
バンシルは、姫の肩にうっすら残った色々な痕が、横に広く開いたドレスの襟から見えないかどうか確認しながら、失礼します、と首飾りを手に取って、首の後ろで留めました。

「…まあ。ぴったりですね、よくお似合いですよ。」
「ほんと?!」
金の鎖と赤い石は、艶の有る絹地とレースが重なった、シャンパン色に良く合いました。
「ええ。もしかすると、用意してあった物よりも、こちらの方がお似合いかも…強いて言えば、長さがもう少し欲しいですけど。」
「もともと南の衣装に合わせる物だから、きっと少し短めなのね。」
「南の衣装?」
「うん。ほら、あれって襟が開いてて丈は短……」

スグリ姫はそこまで説明したところで、自分のうっかりに気が付きました。
南の服を着ている姫は、バンシルは見ていないのです。
それどころか南の服そのものも、バンシルは全く見ていません。
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