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くすくす姫の誕生日(くすくす姫後日談・その4)
第4章 スグリ姫の「お誕生日」
「おはよぉお、バンシル…」

スグリ姫はふわぁ、と大きなあくびと深呼吸をして、それから鼻をくんくんさせて、そのあと、にっこり微笑みました。

今日は、スグリ姫の27歳の誕生日です。
姫は夜更けに一回だけ婚約者と仲良くした後、そのままこてんと幸せな眠りに落ちてしまいました。
そのため、婚約者に朝早く起こされて、こっそり部屋に連れて来られて、また少しだけ寝る…という、複雑な睡眠をとりました。
その割にはすっきり目が覚めたのは、色々な意味で満たされていたということなのかもしれません。

「おはようございます、スグリ姫様。それから、お誕生日おめでとうございます」
「ありがとう!…わあああ、素敵っ…!!」
挨拶を交わした後、バンシルの持っている贈り物を見て、姫は目を輝かせました。

「毎年のお約束ですからね。」
バンシルは、何種類かの良い香りのする秋薔薇と匂紫が生けられた、大きな花瓶を抱えておりました。
この時期は薔薇も匂紫も終わりの時期に近いので、量も種類も集めてくるのは、簡単なことではありません。

バンシルは子どもの頃、誕生日の贈り物は何が良いかと姫に聞いた時、「いいにおいのするおはながほしい!」と言われた頃からずっと、その時々の自分が手に入れられる一番美しく一番良い香りのする花を、姫の誕生日に贈っておりました。
今では城の庭園の一角と実家に、そのための場所を持って居る位です。
そういう意味では、姫の婚約者と同じくらい、バンシルも姫馬鹿でありました。

「きれーい、いいにおーい…すごーく幸せ…!ありがと、バンシル!!」
テーブルに花瓶を置いたバンシルは、バンシル大好き!と姫に抱きつかれ、やれやれと溜め息を吐きました。
「姫様。婚約者様に見られたら、私が睨まれますよ。」
「睨まれたって平気よ、バンシルの方がずーっと前から一緒に居るんだもの。睨んだりしたら、私がサクナを睨んであげる」

幼馴染にぎゅうぎゅう抱きつき抱きつかれながら、二人とも嬉しさの中にも、ほんの少しの淋しさを感じておりました。
長年続いたお誕生日祝いの約束も、ここでこうして祝えるのは、おそらくこれが最後なのです。
スグリ姫の今年の誕生日は、そういう意味でも、特別でした。
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