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第1章 ２人の始まり

───このまま、首筋に噛み付いてやろうか。

　そう思いはしたが、今回は男の願いである、恋人同士の様な甘いセックスをするのだと思い直して、噛み付く事を止めた。興奮すると、どうしても相手に噛みつきたくなるのが自分の悪い所である。短い時間の中で女は自分を密かに律した。
　男の両腕が女の腰に回される。性器を押しつけあおうと、男の腕に力が入り腰を強制的に落とされる。
女が耳から舌を離し、男と向き合った。
　ちゅ、と音を立てて唇を触れ合わせる。軽く合わせては離れて行くキスをする男の後頭部に右手を回して引き止め、女は男の唇を舌で舐めあげた。ぬるりと差し込まれて行く舌を男は迎え入れる。
　絡み合う舌と連動する様に、女の腰は自然と動いて男の性器を、自分の性器を刺激していく。
　女の空いた左手が男のシャツの裾から侵入して、指先が腹の上を撫で回せば、男の身体は小刻みに震えた。