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SOS
第1章 邂逅と訣別

「等価交換といえば……お前には分かりやすいか?」

“等価交換”────価値の等しい物どうしを交換すること。
つまり今回の場合、願いを叶えてもらう代償として、死後は地獄を味わうことになる。

悪魔らしくない悪魔の言動に引っかかっていた木崎は、納得の意を示した。

「叶えられる願いは最高で42個」

「っ、42個!?」

願いは一つだけだと思っていた木崎は度肝を抜かれた。

「なんだ……不服か」

「っ、いえ……あまりに多くて驚いただけです……」

しかし────木崎はごくりと唾を飲んだ。

42というのはまたいかにも悪魔らしい数字だ。

“42”

漢字大国の日本では不吉とされる、忌み数(いみかず)だ。



42

“死、に”────






「さぁどうする────人間、木崎慎太郎」


悪魔は問うた。決断は、人間である木崎に委ねられる────


「……ほんとうに、どんな願いも叶えてくれるんですよね?」

「あぁ、人間界では実現不可能なこともできるぞ……。

例えば、死んだ人間を生き返らせたり、不老不死の身体をお前に与えることも可能だ」
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