この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
SOS
第1章 邂逅と訣別
「等価交換といえば……お前には分かりやすいか?」
“等価交換”────価値の等しい物どうしを交換すること。
つまり今回の場合、願いを叶えてもらう代償として、死後は地獄を味わうことになる。
悪魔らしくない悪魔の言動に引っかかっていた木崎は、納得の意を示した。
「叶えられる願いは最高で42個」
「っ、42個!?」
願いは一つだけだと思っていた木崎は度肝を抜かれた。
「なんだ……不服か」
「っ、いえ……あまりに多くて驚いただけです……」
しかし────木崎はごくりと唾を飲んだ。
42というのはまたいかにも悪魔らしい数字だ。
“42”
漢字大国の日本では不吉とされる、忌み数(いみかず)だ。
42
“死、に”────
「さぁどうする────人間、木崎慎太郎」
悪魔は問うた。決断は、人間である木崎に委ねられる────
「……ほんとうに、どんな願いも叶えてくれるんですよね?」
「あぁ、人間界では実現不可能なこともできるぞ……。
例えば、死んだ人間を生き返らせたり、不老不死の身体をお前に与えることも可能だ」