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SOS
第1章 邂逅と訣別
トイレを済ませ、布団に戻ろうとした木崎は、ドアの隙間から部屋の中に人影を見つけた。
「っ……」
こんな時間に……泥棒だろうか。
金ならこちらが欲しいくらいだ。
だが────部屋にはカメラがある。あれを盗られたらまずい。
「っ……」
一か八か、飛びかかって捕まえてみるか────?
いやでも、もし犯人が凶器を持っていたらどうするんだ。
「……おい」
木崎はひっ、と小さく悲鳴を上げた。まさか、泥棒から話しかけてくるなんて────
「早くこっちへ来い」
「っ、」
くそ、何なんだ。厄日にしたって、あまりに酷い仕打ちだろう、神様め。
一体この後自分はどんな目に遭うのだろう。考えただけでぞっとする。
しかし元いじめられっ子の木崎は気が小さい。ここで犯人に対抗する勇気など、1ミリもなかった。