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愛しき俺の半身
第5章 母親



助けを求めただけだった。

なのに星桜と引き離されて警察署に連れて行かれ小さな部屋に押し込められた。

星桜!

星桜!

頭の中はそれだけでいっぱいになる。

なのに、今度は私服の刑事って奴が色々と聞いて来る。


「一体何があったのかと聞いている。答えろ!」


やたらとデカい声で怒鳴り散らして来る。


「家に帰ると妹が男に襲われていた。だから、その男を殴りつけた。」

「殺すつもりでか?」

「妹が襲われたんだ!だから妹を助けてくれよ!あんたら何の為の警察なんだよ!」

「お前みたいな殺人者を捕まえる為の警察だよ!」


何十回も同じ話をした。

何時間経ったかすらわからなくなった。

星桜!

気が狂いそうになる。


「彼を引き取りに来た。」


刑事とは違う綺麗なスーツを来た親父くらいの男が俺の前に現れた。

刑事がその男に嫌な顔をする。


「彼は人殺しを自白している。」

「妹さんが襲われて混乱をした発言だ。それとも彼に逮捕状が出ているのかな?出ていないのなら彼は今は釈放を受ける権利がある。彼はまだ未成年だ。」


スーツの男が一方的に刑事に言う。

誰だ?

刑事が部屋から出て行った。


「大丈夫、落ち着きなさい。僕は君のお父さんに頼まれた弁護士だ。君を助けに来た。」


荒木と名乗る弁護士は俺の肩を撫でてくれる。


「よく頑張ったね。妹さんを守る為によく頑張ったね。」


その人の優しい言葉に再び涙が溢れた。


「先生…、助けてください。俺と星桜を助けてください。」


大人に縋るしかなかった。


「大丈夫、わかっている。君も妹さんも必ず助ける。それが君のお父さんの依頼だから…。」


親父が助けてくれる。

いつもは居ない親父の温もりをその先生から感じた。



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