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アゲマン!
第12章 最後の謎の答え…



『Locate』の処分を沙那は宇崎に依頼をした。

ついでではあるが、敬一郎の遺産の事も宇崎に相談をした。

今しばらくは、敬一郎の遺産の管理人は里に任せたいというのが沙那の考えだ。

里が亡くなれば、当然、沙那が引き継ぐ事になるがその時は美術館に寄贈する意思を沙那は宇崎に伝えた。


「本当にそれでいいのかい?」


宇崎が驚いた顔をする。

宇崎からすれば、あの山端 敬一郎の隠し子を理奈が産んだ事実だけでも充分に驚いた話だが、その遺産を沙那が相続するつもりがない事に更なる驚きが隠せなかった。


「はい…。」


沙那は気丈なまま笑顔を宇崎に見せた。

そこにはあどけなさはなく、理奈によく似た1人の女性として強く生きる事を決心をした女が居た。

実は、沙那は一部ではあるが敬一郎の遺産を既に受け取っているのだ。

それは里と話し合い、敬一郎の作品ではないものとして受け取った敬一郎のスケッチブックだ。

理奈を描きたいと願った敬一郎の理奈専用のスケッチブック。

そのスケッチブックだけを沙那が引き取った。

これで理奈と敬一郎の関係が表沙汰になる事はない。

父親とのロマンスをひた隠しにして来た理奈の気持ちを沙那は大切にしようと思った。

卒業の前日は美春がいつものように沙那の自宅に泊まりに来た。

明日は朝から美容室に2人で行き、卒業式に着る着物の着付けをして貰う。

沙那のベッドで美春が沙那と手を繋ぐ。


「この先も沙那は親友だよ…。」

「うん…、わかっている。」


美春が居てくれて良かったとしみじみと感じると沙那の目に涙が浮かんでしまう。


「泣かない約束…。」

「うん…。」


卒業式は絶対に泣かないと2人で決めた約束だった。



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