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痴漢野郎 スペシャル
第7章 ふろく
 俺たちは、敏速に、彼女の周りから手を引っ込めた。同時に、よろけていた彼女は、その場に座り込んでしまったのである。座った彼女は、そのまま、乱れた服をそそくさと直し始めた。
 その間、俺たちは、もうしばらく、彼女の周囲にいて、彼女を周りの人目から守る盾になってやったのだった。これは、ささやかながら、俺たちなりの彼女への優しさだったつもりである。
 彼女の身支度がなんとか整うと、俺たちは、ようやく、彼女のそばを離れたのである。
 彼女が「痴漢された」と急に叫んで、あとから騒ぎ出すような事態にもならなかった。ここまで来たら、彼女も、もう泣き寝入りを決め込んでしまったようなのである。それに、三対一では、俺たちに「痴漢などやってない」と口裏を合わせて言い張られてしまったら、勝つ自信もなかったのであろう。
 このようにして、俺たちは、この日は、たっぷりと痴漢という体験を楽しませてもらったのだった。
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