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降っても照っても曇っても(くすくす姫後日談・その4.5)
第3章 降っても、照っても、曇っても
「…本当はバンシルがお前の嫁入りに着いて来てくれりゃあ有り難ぇんだが、な…」
姫の不安はお嫁入りの事から来ていると思ったのか、サクナは姫を撫でながら、そんなことを言いました。
それに答えられずに、姫はゆっくり目を閉じました。

この地の慣例ですと、嫁ぎ先が奥方付きの使用人を整えるか、侍女が嫁入りに着いて行き奥方付きの使用人の長として格上げされて家を取り仕切る手助けをするか、というどちらかが良くある道筋でした。
スグリ姫の弟のハンダマ王子の妃となったレンブを例に挙げると、ハンダマ王子側でも使用人を揃えましたし、お嫁入りの時に侍女を伴って嫁いで来てもおりました。嫁ぐ前に城に逗留していた頃から双方が顔合わせをして役割を調整し、今レンブ妃に仕える使用人達が編成されたのです。
サクナと姫は身分的には同格ではありませんが、サクナの家は代々の家令がおり、女性は居ないとはいえ今現在も多くの使用人が住み込んでいるような家です。
規模や財力という点では、嫁入りしても侍女や使用人を抱える生活は、そう大きくは変わらないでしょう。そういう意味では、人を新たに雇う点は違えど、レンブ妃と同じ様な準備が行われるのは当然と言えました。

ただ一つ大きく違っているのは、嫁ぐ先との距離でした。
本来でしたらレンブ妃のように、こちらから誰かを連れて嫁ぐのが良いのでしょう。ですが、そうするとその誰かを家族と遠く離れさせることになります。
バンシルべったりの姫のことですから、誰かを連れて行くのであれば、バンシル以外に考えられません。
そのバンシルは、侍女ですが、乳兄弟であり幼馴染みでもあります。
そんな大事なバンシルに、自分の勝手で遠い地へ連れて行って辛い思いをさせる気は、最初から姫の頭にはありませんでした。

「バンシルも、誰も、連れて行かないわ。私がここを離れるのは、私が勝手に望んだことだもの。叶うだけで、充分すぎるわ。誰も巻き込みたく無いの」
スグリ姫は頭を振りながら、そう言いました。
もともと姫のお見合い相手は、嫁ぐ場合はお相手が近くにお住まいの方、婿入りの可能性が有るのなら遠くでも構わないという基準で選ばれていたのです。
最初は出来るだけ近くのお相手を選んでお見合いが行われていましたが、近隣の殿方とのお見合いが軒並み不調に終わったために、お相手の住まいは、だんだん遠くなってはいたのです。
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