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降っても照っても曇っても(くすくす姫後日談・その4.5)
第1章 妻の役目と、月のもの
(…いくらなんでも、バンシルには聞けないわね…)
バンシルは未婚ですし、姫の知る限り、恋人も居りません。
たとえ乳兄弟といえども、ここまであからさまな相談をすることは、少々憚られました。

「はい、出来ました。」
「ありがとう、バンシル」
髪を仕上げてもらった姫は「旦那様を気持ち良くさせる別のこと」問題について考えるのを、一旦やめました。

「長椅子でお休みになります?ブランケットをお持ちしましょうか」
「ううん。せっかくだから、木工の仕上げでもするわ」
バンシルのお兄さんに習った木工品の完成まで、あと少しでした。
この機会に仕上げられれば、色々と都合も良いのです。

「そうですか。あまり根を詰めないで下さいね。私は一旦失礼致します」
「ありがと。朝食のこと、宜しくお願いね」
バンシルは、畏まりました、とお辞儀をして、下がって行きました。

しばらくして、スグリ姫は、ふーっと溜息を吐きました。
木工をやろうと思ったのですが、バンシルが部屋を去って一人になったことで、また先程の「別のこと」問題が、頭に浮かんでしまったのです。

「…口、かしらね。」
別のこと、で話題になっていた最初の選択肢は、実は「手」でした。
ですが、手でするのは殿方はそれほど喜ばない、とおっしゃる方がいらしたので、話が紛糾したのです。
理由は「柔らかさが足りないのでは」とか「包まれ感が今ひとつかも」というなんとも微妙なものでしたが、ご婦人方も結局は自分で実際に体験できる訳では無いので、「手でする」話は曖昧なまま終わりました。

その次に上がったのが、「口」でした。
こちらは殿方の反応は概ね宜しいようでしたが、逆にご婦人方の評判が芳しくありませんでした。
口に入れるのは抵抗がある、という方も相当数いらっしゃったのです。

(うーん…私は口も、喜んで貰えると嬉しいし、なんかぴくぴくして可愛いし、気持ち良くなったら出るって結果が分かりやすいし…味はともかく、やりがいが有って割と好きなんだけど)
姫は、教えられて上手になったと撫でられて誉められたことなども思い出して、一人でぽっと赤くなりました。

(でも、何もしなくても吐きそうな時、あんな口いっぱいになって、大丈夫なのかしら…)
姫は月のものが酷いときは、吐き気がしたりするのです。
口に入れて吐きそうになるのは却って失礼なのではと、姫は真剣に考えました。
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