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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第13章 柊屋敷の嫁御様
「前科?」
不穏な単語にサクナは不機嫌そうに唸り、バンシルは眉間に皺を寄せました。
「姫様のドレスを着られない様になさった事が、お有りですよね?」
「お前、なんで知っ」
その件を知っている人間は、自分以外には二人しか居りません。しかも、そのうち一人は、バンシルとほとんど接点がありません。
サクナは、姫をじろっと見ました。

「…ごめんなさいっ!ついうっかり」
「うっかりだあ?!うっかりにも程が有るだろ!!」
サクナが姫をわざとらしく睨むと、姫はしゅんとして小さく縮こまり、見かねたバンシルが割って入りました。

「御当主様。お言葉ですが」
「何だよ」
「うっかりだろうが無かろうが、ドレスが汚れたのは、事実ですよね?」
「…あー…まあ、そうだな」
「ということは、単なる事実として、お二人で居た時にドレスが汚れた事が、過去に有ったってことですよね?」
「…ああ、そうだな」
「そんな事が前に有ったのなら、姫様があなた様と二人きりの際に、近々着ると決まっている新しいドレスを着て見せる事を躊躇なさるのは、致し方の無い事じゃあ御座いませんか?」
「…そりゃ…」
立て板に水のバンシルの言葉に、サクナは反論出来ません。指摘がいちいち的確すぎて、「ごもっともです」以外の返事は出来そうに有りませんでした。

「…ま、過ぎた事は、過ぎた事ですよ。ちゃんと姫様をよく見て差し上げてくださいな。前のドレスも素敵でしたけど、今回のドレス姿も、素晴らしくお綺麗ですよ」
「ああ、そうだ………っ!」
「どうかしら?バンシルは似合うって言ってくれたんだけ…えっ?!」
こちらを向いた姫が頬を染めて照れくさそうにきらきらした顔で笑ったのを見て、サクナは顔を手で覆って目を背け、明後日の方を見ました。

「え?え!?なんで、あっち見るの!?」
「いや…」
姫に詰め寄られて、サクナは余所見をしたまま、たじたじとなりました。

「これ、似合わない?あ!もしかして、この地の風習的に、どこか変っ?!」
「や…すげぇ…」
「すげぇ…?まさか…」
姫ははっと目を見開いて、わなわな震えました。

「まさか…すげぇ、変っ…」
「な訳ねぇだろ!…っ…」
サクナは姫をちらっと見て、また目を逸らせて言いました。

「…すげぇ、綺麗だ…」
「えっ!」
サクナの絞り出すような呟きを耳にして、姫はようやく、ぱあっと嬉しそうな顔になりました。
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