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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第13章 柊屋敷の嫁御様
「この土地のドレスだから、帰ったらもう、着る機会はそんなに無いかもしれないけど…記念だと思って、受け取ってくれたら」
「姫様…」
「あ、ドレスに羽織るこの薄衣は、都でも使えるわよね?これは、私とお揃いなのよ!動いても落ちないように、工夫してもらったの」
きらきらした金銀の粉を刷いた様に光る、羽根のように軽やかな絹の薄衣を手に持って、スグリ姫はバンシルに微笑みかけました。けれど目元と声音は誰が聞いても分かる程に潤んでいて、幼馴染みの侍女への贈り物が意味する未来の淋しさを堪えているのが、一目で見て取れました。

「…ありがとうございます。御披露目の宴には、これを着て出席させて頂きますね」
「…うん。嬉しいわ、ありがとう」
産まれたときから一緒に育ってきた二人は、見つめ合って、微笑み合いました。
その時、扉を叩く事無く突然に、姫の部屋の戸が開かれました。

「おいスグリ、ちょっと良いか?話があ…」
例によって我が物顔で姫の部屋の扉を開けて入ってきたのは、この家の主でした。サクナはドレスに身を包んだ自分の婚約者が、目を潤ませて侍女と見詰め合って居るのを見て、固まりました。

「…お前ら…何してんだ…?」
「そうですね、これは花嫁の略奪…」
「えぇっ!そうなのっ?!」
「な訳ねぇだろうが!!!!」
毎度毎度飽きもせずに騒ぐ主と当主に白い目を向け、侍女は顔色一つ変えずに言いました。

「…な訳ありません。ドレスも、婚礼衣装では無いですし」
「…婚礼衣装だろうが違おうが関係無ぇよ!!お前ら!…ってか、スグリっ!!」
「はい?なあに?」
いつもは侍女の返しで終わる一幕がまだ続いている事に首を傾げつつ、姫はサクナに答えました。

「おっ前っ、俺にドレス姿見せる前に、なんでバンシルに見せんだよ!?」
「…あ。」
サクナに痛いところを突かれた姫は、素直に頭を下げました。

「ごめんなさい。ついうっかり」
「うっかりだぁ?!」
「あの、御当主様?」
ショックを受けているサクナに、バンシルが淡々と呼びかけました。

「何だよ」
「それは、仕方の無い事では無いでしょうか」
「何でだよ!」
「前科が御座いますよね?」
バンシルに断言されてサクナは噛みつきましたが、思わぬ台詞で打ち返されました。
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