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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第13章 柊屋敷の嫁御様
「これを、着けてみてくれねぇか」
姫はサクナの差し出した包みを受け取って、そっと丁寧に開きました。

「わあ!飾り櫛ね…素敵!」
「まあ…美しい細工ですこと…」
包みの中から現れた美しい櫛に、女二人は溜め息を吐きました。

「デイジー、これ、私が自分で挿しても、変にならないかしら?出来れば、自分で挿してみたいのだけど…」
姫がそう持ち掛けると、侍女はにっこり笑って請け合いました。

「大丈夫ですわ、奥様。この辺りに挿せば落ちませんし、見た目も映えると思います。もし上手く行かなくても、おっしゃって頂ければ、すぐにお直し致しますわ」
デイジーに、編み込まれて結われた髪の手の届きやすそうな場所を示されて、スグリ姫は嬉しげに言いました。

「ありがとう、デイジー!やってみるわ!」
姫ににっこり微笑まれたデイジーは、微笑んでお辞儀を返しました。
「こちらこそ、ありがとうございます。奥様の晴れの日のお支度に携わらせて頂いて、光栄で御座いました。…では、私はこれで一旦下がらせて頂きますね。バンシルさんの所へ参りますので」
「ありがとな、デイジー」
デイジーはサクナにもお辞儀を返し、部屋から去って行きました。


「サクナ?」
「ん?」
「これ…他のと、お揃いなの?」
デイジーが去った後、姫は飾り櫛を髪に挿す前にしげしげと眺めながら、サクナに尋ねました。

櫛は首飾りや足環や指輪と同様に、金細工に赤い石が嵌められたものでした。
指輪と違って石の色は赤一色でしたが、細かい模様が付いている所は、どこか指輪と似た雰囲気がありました。ただ、指輪の模様は透かし細工と細かい凹凸で付けられていましたが、櫛の模様は細い金線を縒った物で付けて有りました。そこが、飾り櫛が他の装飾品と揃いでは無い決定的な違い…と言うのは、見る者が見れば、分かったかもしれません。装飾品の細工の技法としては、その二つに施してあるそれぞれの細工は、広く行われていた時代が違って居たからです。

「…いいや。これはお前の着けてるのとは、別物だ」
サクナは言いにくそうに口籠もり、逡巡した後、ぼそりと言いました。

「この櫛は、俺の母親の形見だ」
「え…!?」
サクナの思いも寄らぬ言葉に、スグリ姫は心の底から驚きました。
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