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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第3章 古傷と爪痕
「ほんとに、ごめんなさ…へっ?」
サクナは縮こまっている姫を、ころんと寝台に転がしました。

「あー、お前は本当に、クッソ可愛いなぁ…」
「ふぇえっ?…ん?んんん??」
怒っている割には嬉しそうに髪をなでられ、執拗に口づけられて、姫は縮こまっていた体の力が、いつの間にかふにゃんと抜けました。

「安心しろ。ああいう女は、好みじゃねぇ」
そう耳許で囁かれながら身体をあちこち触られて、先程一度上り詰めた姫は、簡単に息が上がり始めました。
「あんなっ、きれいな、びじんっ…なのに?」
「お前、俺の好みを知らねぇのか?」
そりゃ大問題だ、とサクナはわざとらしく眉を顰めて、姫の中に指を纏めて突っ込みました。
「ひゃんっ!…あ、やっ」
指を埋められぐちゅぐちゅと搔き回されると、姫は小さく声を上げ、サクナの腕をきゅっと掴みました。
「俺の好みは、こういう女だぞ?」
「っふゃあああん!」
そう言うが早いか、空いている方の手で項からお尻にかけてするりと撫でられて、姫は堪らず声を上げました。
「ああ、この反応も好みだな」
「ぁ…あ、あ、だ、め」
先程まで搔き混ぜられていた指が、いつの間にか抜き差しするように動かされていて、気が付けばそれに合わせて姫の腰は揺れていました。
「ダメじゃ無ぇだろ?」
「あ」
ほら、と中を弄くっていた手を抜かれ、自分から溢れた濡れて光る滴りを纏っている指を眼前に見せられて、姫は体中が熱くなりました。

「だっ…クロウさんたち、もうものすごくまたせてるっ」
「待ってるもんか。あいつらは俺達が居ても居なくても、したけりゃ勝手に仕事する奴等だろ」
「あ…んんっ…」
「あいつらもガキじゃねぇんだから、心配しねぇで大丈夫だ。それに、この前言ったよな、お前が一番で、他は二の次だ 」
「っん…ぁ」
抜かれた指の代わりにサクナ自身がゆっくりと入ってきて、姫の体は悦びでぶるりと震えました。

「まだちゃんと分かって無ぇみてぇだから、よーく、教えてやろうな」
サクナは姫の頬に手を当てると涙の跡を親指でぬぐい、震えている唇にちゅっと口づけました。
「俺がヤりてぇと思う女が誰なのか、お前が胎の底から納得するまでは、許さねえ」
「…っ…は、」
サクナがにやりと笑い、自分が溺れかけた人のようにやっとのことで息を吸い込んだのが、スグリ姫のその午後の、最後のはっきりした記憶でした。
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