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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第4章 花と果物
冬の日は、暮れ始めたと思う間に、見る見るうちに闇が濃くなります。
この地には視界を遮るような高い建物がほとんど無いためと、農地が多く広々と開けた景色が楽しめるため、夕暮れの風景の美しさで近隣に知られておりました。
特に今頃の季節の日の落ちる瞬間の茜と藍との移り変わりの美しさは、絵描きが題材にすることもある程の絶景と言われることもありました。
けれど、本日の午後この屋敷の居間に集まった人々は、誰一人としてこの日の夕暮れを楽しむことは出来ませんでした。

クロウとバンシルは時々お茶を飲んで休憩しながら、姫がこの地に住まう為に必要な、諸々に関しての話し合いを致しました。
具体的には、まだ不充分な物品や調度について、雇い人の人選について、当地と都の婚礼のしきたりの違いについて、などです。
主達が不在でも話を進められる範囲での摺り合わせが粗方終わり、そろそろ灯りが必要ではと思われるようになった頃、居間のドアが外から開かれました。

「悪ぃ、遅くなった」
入ってきたのはサクナ一人で、姫の姿はありませんでした。
「任せきりで済まなかったな。スグリは、あいつの部屋に案内して、ついでにそのまま休ませた」
サクナが椅子に腰掛けると、クロウが立ち上がって報告しました。

「何の問題も御座いません。打ち合わせ出来る部分は、バンシル様と進めましたので」
「一番デカい条件はバンシルに伝えたか?」
「勿論で御座います」
「念押ししとくが、雇う人間の一番大きな条件は『面倒事を起こさない女』だ」
「サクナ様?」
「なんだよ」
クロウがサクナに話し掛けると、サクナは不機嫌顔で眉を顰めました。

「バンシル様には、はっきりお伝え致しましたので。第一の条件は、正しくは『ご当主に色目を使わない女性』で御座います」
「おい!」
クロウの訂正を聞いたサクナは、不機嫌の最上級のような顔になりました。

「いくら何でも、そういう奴はもう来ねぇだろ。嫁の為に人を雇うって、はっきり言ってんだぞ」
「それで済むなら、男ばかりの屋敷になどなって居りませんでしょうし、世の中もっと平和で御座いましょう」
クロウは先程から話しながら淹れ替えていたお茶のカップを、サクナの前に置きました。
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