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ビスカスくんの下ネタ日記(くすくす姫後日談サイドストーリー)
第14章 それは秘密では有りません
「こいつは、しばらく寝かせて馴染ませて、試飲した上で出来を見てから値段を決めるが……面白い物が出来上がるかも知れねえ。お前、もしかすると、才能有るかもしれねぇな」
「え!!まさかー!!出来たとしても、まぐれでさぁ!!」
「楽しみだな。少し待たせちまうが、値段が決まったら連絡する。また遊びがてら来てくれよ」

 サクナ様はオレンジと香辛料の入った瓶をよくよく混ぜて蓋をしながら、俺に向かってにやっと笑った。


     *     *     *
 

 それからしばらく経って、本日が代金の受け取りの日だ。
 もっとも、値段なんざ、どーでも良いっちゃ良いんですけどね。もともとサクナ様んちの厨房で、サクナ様んちのオレンジで、サクナ様んちの香辛料だ。俺の持ち出しは全然無え。俺の方が却って教わり賃を払わなきゃならねえ気がするくらいでさあ……と、思ったんだが。

「待たせて悪かったな。お前の作った干し果物の代金だ」
「……へ?」

 何だ、こりゃ。
 部屋に入ってきたサクナ様の懐から、予想の十倍位の金が、俺の目の前に置かれましたよ?

「あの……これ、金額、間違ってやせんか?」
「ん?そうか?……大丈夫だ。間違って無ぇぞ」

 サクナ様ぁ俺の質問を聞いて代金を数え直したが、間違いじゃあ無かったらしい。

「随分、有りやすけど……宜しいんですか?」
「ああ。試飲の結果が、思ったよりも良かったんでな。物そのものの代金も有るが、どっちかって言うと、あの配合書の代金だと思ってくれ。ありゃあ、なかなか面白ぇ出来だ。俺にゃあ思い付かねぇよ……それに、」

 サクナ様は、照れた様に笑った。

「スグリが戻っちまった後の、空いた時間の気晴らしにもなったしな……その礼も含めた金額だ。取っといてくれ」

 なるほど。それで、こんな大金なんですね。
 試飲の結果が良かったって事ぁ、サクナ様が飲んで、旨かったって事だよな?そりゃ、嬉しいねー。
 スグリ様も、お気に召して下さると良いやねー……あ、勿論、サクナ様の茶たぁ全然比べ物にならねーですよ?スグリ様にゃあサクナ様の作以上の物は無ぇでしょうからねー。俺なぁ色物です、色物。
 そう言やあ、お嬢様も試飲の仕事をなさっちゃ居たが、今はお休みなさってるんだった。お嬢様が休んでらっしゃらなけりゃあ、お嬢様にも飲んで頂けたのかもな。
 ……ちょいと、残念だね。
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