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ビスカスくんの下ネタ日記(くすくす姫後日談サイドストーリー)
第14章 それは秘密では有りません
「じゃあ、お言葉に甘えて、遠慮無く頂きやす。辞めたらこちらに来るなぁ難しくなりやすから、良い思い出になりやした」
「お前、辞めんのか?!」
「へえ。お嬢様御夫婦の、お邪魔ぁしたくねぇですし」
「だからって、辞めねぇでも」

 辞めねぇでも、首になんですけどねー。予想してた事だし、これからお坊ちゃまはサクナ様とも付き合う事になんだろうし、印象が決して良かぁ無ぇ話を、わざわざお伝えする事ぁ無え。
 領主様とタンム様にゃあ、お坊ちゃまから言われる前にと思って、自分から辞めますってお伝えしといたしね。

「……邪魔って事ぁ、無ぇんじゃねぇのか?ローゼルだって淋しがるだろ」
「お嬢様が宜しくたって、御夫君様は気兼ねでしょうよ。そんな事になっちゃあ、俺だって気ぶっせいでさあ」

 サクナ様は少しだけ眉を寄せて考えてたが、すぐに口を開いた。

「お前さえ良けりゃあだが……辞めんなら、ウチで働かねぇか。調合の才が有りそうだし、刃物も苦手じゃなくなって来てんだろ。お前なら、他にも頼みてぇ仕事ぁ幾らでも有る。お前にとっても、慣れた場所だろうし……どうだ?」
「有り難ぇお申し出ですが、お断りしやす」
「そうか……スグリも喜ぶと思ったんだが、やっぱり無理か」

 無理でしょ。
 首になったら、なるったけお嬢様と会わねー仕事に就きてぇんですよ。会わねぇどころじゃ無く、噂も聞かねぇ遠くのどっかの仕事に就きてぇ位だが、それじゃあちっと困るしね。お嬢様が困った時にお役に立てる程度にゃあ、付かず離れずの場所に居てぇんだよな。
 なんならサクナ様の屋敷じゃなくて、スグリ様のご実家辺りで雇って貰うってなぁどうだろうねー。お帰りになったら、本気でお聞きしてみやしょうかねー……あ。
 そうだ。
 サクナ様の顰めっ面を見ていたら、全然別のお願い事を思い出した。

「……俺を哀れに思し召すなら、お勧めの女の居る店でも教えて下せぇよ」
「は?」
「サクナ様、以前はそこそこ遊んでらしたじゃねーですか。お詳しいですよね、おっぱいデカい女の居る店」

 世間話の様に軽く明るく何気なく聞いたってのに、サクナ様は史上最凶最悪の、人を取って喰う魔王の様な雰囲気になった。
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