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ビスカスくんの下ネタ日記(くすくす姫後日談サイドストーリー)
第6章 余計なお世話です
「良いか。お前が肚ぁ括ってはっきりしさえすりゃあ、多分反対する奴なんざ居ねえ」
いや、居るでしょ。
山ほど居るでしょ。
そもそも当のご本人が反対…
…って、誰が、何を反対すんだよ!

「お前は、ここん家の遠縁だろうが。俺みてぇな何処から来たのか得体の知れねぇ馬の骨たぁ訳が違う。やる気さえ出しゃあ仕事も出来る。お調子者だが商才は有る。必要なら平気で嘘も吐けるし、頭も悪くねえ。成りは小せぇが、腕っ節も強え。そんな事より何より、一番でかい利点をお前は持ってる」
「なんすかそれ」
…おっといけねえ。
聞き流すつもりが、うっかり聞き返しちまったよ。どっから来たんだ、うっかりの奴ぁ…カヤネズミだな、ウサギ姫のが移ったね。
うっかりが伝染した俺に、サクナ様は重ねて言った。

「お前を嫌ってねぇだろうがよ、あいつは」
「は?」
「あいつは、人の選り好みが酷ぇだろ?」
あー、人の選り…いやいや、極度の人見知り、ね。
この前もあんたの婚約者様が、手酷い扱いを受けましたからねー。だけど当の婚約者様はちっとも気にしてらっしゃらねぇどころか気がついて居るんだか居ねぇんだかすら怪しくて、人見知りの御方の方も呆れ返ったのか、すぐに態度が軟化されてましたがね…
…って、誰の話だよ、誰の。
そんな事を考えてたら、追い討ちが来た。

「そんな奴に嫌われてねぇってだけでも、凄ぇ事だろうが
…好かれてるかどうかは、また別だが」
「…あー…そりゃー…」
そりゃー、あんたの意見でしょうが。好かれてねぇならいっそ嫌われてようが変わらねえ、って考え方もありやすからねー。

…いやいやいや。
そもそも、俺を嫌ってねえあいつって誰だよって話でさあ。
余計なお世話は、勘弁して下せえ。
あー、もう何も考えたくねー。良いんです、どーでも。
衣食住に困ってねぇだけで、有り難ぇですよ。
俺ぁこのまま流されて年取ってくだけで、十分でさあ。
生きててこの先何か起こる気なんて、全くしねぇやねー…。

俺は有らん限りの自棄を並べて一人で拗ねて黙り込み、サクナ様も余計なお喋りを止めて、持ち込んだ仕事に集中された。
男二人が狭い部屋にひしめいている悲惨な状況の割には静かな時間が、茶会の終わるまでの間、しばらく流れた。


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