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ビスカスくんの下ネタ日記(くすくす姫後日談サイドストーリー)
第6章 余計なお世話です
「口から出すだけならすぐ出せますけど、相手がねー」
俺にはお前だけ居りゃ十分だ、なんて事一人で言ってたら、ただの危ねー奴ですよ?

「相手なら居るだろ」
「え、居るんですかい?」
「俺にお前の相手を聞くな。自分の胸に聞いてみろよ」
自分に聞けとおっしゃいますが…いろんな意味で、聞くのが恐い。

「とにかくだ。試しに何か言ってみりゃ良いだろ?言ったら何かしらは返って来るぞ」
何かしら、返って来るって。
何が返ってくるか、考えるのも恐ろしい。
禄なもんは返って来ねーのは、間違いねえ…って、そもそも誰に?誰に言えってんですかーい?

「いやもう勘弁して下せえ…あんたみてぇに万事上手くやってる奴にゃあ、俺の事情なんざ分からねーですよ…」
俺は一連のやり取りに心底疲れて、呟いた。

サクナ様の生い立ちは、そう幸せじゃ無かったかもしれねえ。詳しい事は知らねぇが、柊屋敷の先代様に拾われた孤児だってことは、ここらの人間なら誰でも知ってる。ご本人自身も、隠そうともして無え。
しかし、昔はさて置き、今はどうだよ。
元祖果物馬鹿に果物馬鹿として見出されて拾われて育てられ、当主に据えられて期待以上の働きをなさっちまって実権を握って、嫁は一生要らねぇとか嘯いてた癖に何日もかからねぇと行けねぇ城に住んでるお姫様なんて高嶺の花の筈の女に突然出会って、それも他人様の見合い相手だったってのにあっと言う間に惚れ合って、ヤッちまってモノにして都でもここでも首尾よく婚約を取り付けて、連れて帰って現在毎日宜しくヤッてらっしゃって、春にゃあ晴れて結婚なさるって、どんな奴だよ。
二十数年ひたすらお嬢様にお仕えしてるだけの俺の半生たぁ、全くもって天と地ほども違い過ぎまさぁねー…
…と思ってたら、サクナ様が言った。

「いや、お前のが上手くやってんだろ?」
「は?どこらへんが?」
「どこらへんだぁ?ガキの頃から人を牽制しまくって来た奴が、どの面下げて『どこらへんが?』だよ?その癖、長年肝心な所ではっきりしねぇで小狡い事を繰り返してっから、こんな年になってもこんな所で捻くれやがって拗ね腐る羽目になってんだよ」

「…ご意見、誠に有り難うございます。俺ぁどーせ産まれる前から小狡いですよ」
拗ね腐りついでにボヤいてみたが、サクナ様は俺の話なんざ全く聞いちゃ居なかった。
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