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ビスカスくんの下ネタ日記(くすくす姫後日談サイドストーリー)
第7章 火中の栗には気をつけましょう
「お嬢様?」
「何よ!」
「お嬢様は、いつだって、なんにも可笑しくなんか、ねーですぜ?」
そう。これは、嘘じゃあねーですよ?
何をしてなさろうが、何を着てらっしゃろうが、何をおっしゃってようが、お嬢様にゃあ可笑しいことなんざひとっつも有りやせんよー?
お嬢様は、いつも気高く、傲慢に見えちまいそうな程、お美しいですからね。
笑い者になんざ、相応しくありやせん。

「ビスカス…」
それなのに。
俺が折角良いこと言ったってのに、お嬢様はまだご不満みてーで、唸るような声で仰った。

「笑いなさいよ…小麦みたいな私を…!」
「え。こむ…………ぎっ。」

「笑った…笑ったわね、ビスカス…」
「…や、そりゃ…」
俺は、思わず吹き出しかけて舌を噛んだ。
それを見たお嬢様は、鬼の首でも取ったみてーに、俺が笑ったことを責め始めた。
「あの、今のは決して…お言葉ですが、お嬢様が変なことおっしゃりなさるからでぇえええええー!!」

お嬢様。こめかみを両拳でぐりぐりすんなぁ、止めて下せえ。
お嬢様のがお背が高くていらっしゃるから、力がうまいこと入って、すげー痛えです。
それに、笑ったなぁお嬢様のせいですぜ。俺は悪くねー。
小麦は、止めて下せえ。ツボに入った。クソ笑うわ。




「スグリ。良いか、栗は時々毬に入ってることがあるからな」
「分かってる」
「毬は棘が有るからな。いや、むしろ毬に有るのは棘だけだ」
「うん」
「刺さると痛ぇからな、手で触るんじゃ無」
「大丈夫よ、それもう百回聞いたから」

俺がこめかみを押さえながら、ずかずか歩くお嬢様の後について集合場所に行くと、サクナ様がスグリ様に栗拾いの助言をなさっていた。
ウサギ姫の侍女やウチのお嬢様、それに今手が空いているらしい使用人の女達もみんな、汚れても良いようにとお揃いの地っ味ーな麻袋みてぇな寝間着みてぇな服を着ている…
…やべぇ。
もうご一同様が、小麦の袋の行列にしか見えやせんw
お嬢様のせいですよ。どうしてくれやがりなさるんで。

「そうか?あとな、毬は火にくべると良く燃えるが、栗の実は爆ぜるから気を付」
「もうっ!それも、百回聞いたってば!!」
小麦の笑いを必死で堪えて見ていたら、遂にスグリ様がサクナ様にお怒りになった。
…サクナ様?
そこまで行くと、助言じゃありやせんぜ?
単なる口うるせぇ余計なお世話の過保護なお節介です。
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