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ビスカスくんの下ネタ日記(くすくす姫後日談サイドストーリー)
第9章 夢は夢だから夢なのです
●月●日

「…う…」
あー…。
…おはよう、俺…。

幸せの絶頂で閉じた幕は、朝日と共に、再び開かれやがったらしい。
やって来たのが朝日だけなら良かったが、苦痛も漏れなく付いて来た。要らね。

「お早う、ビスカス。」
これまだ夢だと良いなと思ったら、暴君の声がした。
…夢じゃ無かった。クッソ残念だ。

「っはよ…ぜーま、す…?」
「安心しろ。とりあえず、命の心配ぁもう無ぇよ。ここは屋敷ん中の客間で、今は披露目の会の翌朝だ。そんなに寝てた訳じゃあ無ぇぞ…痛むか?」
サクナ様。痛むに決まってんでしょ。
と、言えもしねーので、頷いた。

「起きてすぐ会えたのがローゼルじゃ無くて、悪かったな。お前が気ぃ失ってからさっきまで、ずっと寝ねぇで付いてたんだが…あいつに倒れられんのも、困るからな。スグリが寝かせに行ったばかりだ…呼んでくるか?」
「いえ…」
お嬢様の健康を、俺の都合で曇らす訳にゃあいかねぇよ。ってか、もう既に寝不足にさせちまったのか。
俺の為になんざ、わざわざ起きてて下さらなくって、良かったんですよ?…お嬢様がいじらし過ぎて、刺されてねぇ筈の胸が痛ぇわ。

「そうか。じゃあ少し眠れた頃、知らせに行くかな……入って良いぞ」
控え目に扉を叩く音にサクナ様が応えると、スグリ様が入って来られた。

…驚いた。

披露目の会から一晩しか経って無ぇってのに、すっかりしっとりした奥様然となさっている。昨日ぁタンム様にローゼル様とサクナ様のがしっくり来るとか揶揄われてたし、失礼ながら以前に俺も似た様に思った事が有ったけれども。
今お二人が一緒に居なさるのを見ると、一対の似合いのご夫婦以外にゃあ見えねぇよ。
俺は今度は、なんだか胸が熱くなった。

「ローゼル様、やっぱり起きてるって、頑張られてたんだけど…ヴァイオレットの作ってくれた薬湯を差し上げて、なんとか休んで頂いたわ。……あ!ビスカスさんっ!?」
「あー…スグっ…っ」
「無理に喋っちゃ駄目よ!サクナ、クロウさんとヴァイオレットを呼んで来た方が良いわよね?」
「ああ。だが、その前に…」
サクナ様は、目を面白そうにくるっとさせて、嬉しそうに破顔なさった。
ちょ!?
あんたのそんな顔、見たことも無ぇですよ?
なんなんだ?!何が来んだよ!?

「お目出度う、ビスカス。」
「…は?」
身構えた俺に突然、暴君からの温かい祝福が降り注いだ。
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