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写性 …SHASEI…
第3章 新居

「沙…絵…」

お父様の手が私の背中を撫でる。
温かい…
私は甘えるということを知らなかった。

こんな風に抱き締められることも、記憶にない。
嬉しくて、温かくて、くすぐったいけど気持ちいい。

「沙絵…新しいお家に来たことを忘れちゃったの?」

「う…ん…」

「ここが僕と沙絵のお家だよ。そしてここは沙絵のお部屋…」

「お父様のお部屋は?」

「隣だよ。」

お父様が私を降ろそうとするので、私は手足に力を入れた。

「沙絵?」

「降ろさないで…」

「抱っこがいいの?」

「抱っこ?
うん…私をずっと抱っこしてて…」

「沙絵がこんなに甘えん坊さんだとは知らなかったなぁ…」

「う…ん…沙絵は甘えん坊さん…
お父様…私をずっと抱っこしていて…」

私は自分は強い人間だと思っていた。
幼稚園でも「大人びてる」と他のお母様たちに言われているのを意識していた。

でも、お父様は優しい、温かい、くすぐったい…
ずっと欲しかった。

ずっとこんな風にしてもらいたかった。


お父様は優しく微笑みながら、私の髪を撫でてくれる。

らしくない自分に恥ずかしくなり、お父様の首筋に顔を埋めて擦りよった。

ビクッ…


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