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胸懐の本棚
第1章 胸懐の本棚
 

表へ出た二人を、春の温かな夜気が心地よく包んだ。
真紀と労わりあうように鉄階段を降り、星が出揃った夜道を歩いた。

 ―――美里、
 お前が言うてくれたように、僕シアワセになろ思う。
 この人とシアワセになろ思うんや。
 次の月命日は箕面(みのお)のお墓へお参りに行くわ。
 そんとき、この人を一緒に連れて行ってもええやろか。
 いっぺん離婚してつらい思いしとるのに、勇気ある女やと思うねん。
 けども、ほんまはな、寂しいのやと思う。
 独りいうのは寂しいもん。それは僕にもようわかる。
 そやから僕も、彼女のそばに居(お)ろと思てな。

 このさきの人生、どれぐらいの速さで過ぎていくんか、
 僕にもそれはようわからん。
 そやけど齢とって僕が彼女を看取ったら、
 そのあとすぐに、僕もお前と同じ道を通ってそこへ行く。
 タバコも辞めんと頑張って吸うとるんや。
 肺もだいぶ汚のうなっとるやろけど、
 葬式で僕を焼いたら、きれぇな宝石がようさん出てくるはずや。
 いつかそれをネタにゆっくり話せたらええな。

 今までそばに居てくれて、ありがとう。
 おおきにな―――。

歩道を行くと、風に揺すられた道路脇の桜が、小夜時雨のような花びらを降らせてきた。
桜の散り敷かれた道を真紀と並んで歩きながら、哲夫は、明日にでも姉に電話してやろうと思った。








 完



 
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