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愛おしいキミに極甘な林檎を
第37章 幸せな日々とその奇跡まで



「ごめん。冷えると痺れるみたいなんだ」


「それなら温かくしないとですね。隣に座ってください」


ソファに二人で腰掛けてから自分の手をソラ先輩の右手の上に置いてゆっくりと撫でた。


見た目は傷一つなくて綺麗な手をしているのに……。



弾けないから売ると言っていた電子ピアノはまだ家に残っている。

きっとピアノを弾くことをまだ諦めてないから売らずに置いてあるんだろう。


もう一度弾いて聞かせてくれるのかな……。


いつか右手が前のように動く日がきますようにと願うばかりだ。



「ありがとう。痺れが和らいできた気がする」


「良かったです。冬になったら冷えることも多いでしょうし、いっぱい撫でてあげますね」



手の甲を撫でている途中でソラ先輩が私から視線を逸らす。

どうしたのかと思って首を傾げて見ると耳が赤かった。

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