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愛おしいキミに極甘な林檎を
第37章 幸せな日々とその奇跡まで



その言葉を聞いて視線を落とすと理人さんが不思議そうな顔で見てくるから急いで顔を上げた。


「あっ、そういえば、いい引越し先は見つかりました?」


「まだです。家賃を抑えようと思うと難しいですね。弟は転校することを嫌がっているので近場で探しているんですよ」


この様子だと妹と弟は元気のようで安心した。


「ふふっ、理人さんは本当に優しいお兄ちゃんですね。……あの、祖父は元気ですか?」



あれからどうなったのか気になっていたから訊ねてみると、理人さんは小さく息を吐いて腕を組んだ。



「千十郎様は風子さんが出て行ってからずっと悩んでおられましたよ。負けたのが相当悔しかったんでしょうね。

胃に違和感があったようなので病院に行って胃癌の検査をなされましたが、今のところ大丈夫だそうです」


「そう…ですか……」



「僕らのことは気にせず、風子さんは自分で決めた道を進んで幸せになってください。塑羅緒さんのこともあるでしょう?」


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