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愛おしいキミに極甘な林檎を
第37章 幸せな日々とその奇跡まで



「はい……」


「早く治してもらわないと困ると言っておいてください。今度将棋をする時は一緒に飲みながら指したいので」



初めて二人が出会った頃とは大違いの台詞に微笑んだ私は手を振って理人さんと別れた。




あともう少しで夏も終わる。


夏の終わりまでにソラ先輩とどうするか決める約束だった。


でも祖父を言い負かして状況が一転して駆け落ちする必要もなくなった。



このままここにいれることになったのに、まだ心の中は灰色の霧がかかっている。



自分では解決しない悩みが降り積もって頭がパンクしそうだ。


だけど今の私にできることはお金を貯めて借金を返して、ソラ先輩の傍にいることなのは分かっている。



八百万円……。

私が稼ぐ給料から考えると途方もない金額。


このままだといつ返し終えるか想像もつかない。


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