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愛おしいキミに極甘な林檎を
第38章 真実と愛のかたち


これは祖父以外には言えない我儘だ。


「では……、この辺りで近くの物件を持っているのなら理人さんに貸してくれませんか?

兄弟三人で住める引っ越し先を探しているみたいなんです。だから手を貸してください」



「風子さん……。僕のことなんていいんですよ……」



理人さんは困ったような顔をしていた。


大勢がいるこの場で言ったのがまずかったような気がして手に汗を握る。

だけどこれ以外に思い浮かぶものがない。



すぐ横で体を支えている理人さんを見た祖父は目を閉じて黙った。



「悪いがそれは無理なお願いだ。他のものを選ばぬか」



「えっ、ダメ…なんですか……。物件ではお礼として高すぎましたかね?」


「全体的な労力を考えるとそのくらいのお礼があってもいいと思います」


私に次いでソラ先輩が追い討ちをかけてくれる。


この様子だと私の意見に賛成してくれているようだ。


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