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愛おしいキミに極甘な林檎を
第44章 愛の結晶

首を傾げながら聞くと昴くんは椅子から立って窓から外を眺めた。
「苦手なのは苦手なんでしょうね。兄さんは父方の祖父母にとって初孫でしたから、色々と期待されていたようなんです。でも何かがきっかけで祖父母とは一緒に住みたくなくなって避けるようになったみたいです」
「なにかって……?」
「そこまでは僕には分かりません。歳が結構離れているもので小さい頃の記憶は思い出せなくて……。
あと、兄さんは小学生の頃から僕らとは離れて母方の祖父母の方で暮らしていたんですよ。
だけど十年前に母方の祖父が亡くなって、祖母も入院してからはその家にはいられなくなったんです。
それから一時期、父と母と僕と兄さんの家族四人で一緒に暮らしましたが今度は父の転勤で東京に行くことになって。でも兄さんは残ったので、僕ら兄弟はあまり長く一緒にいなかったんですよ」
家族と離れて暮らしているのは、大学生の頃つらい過去を話してくれた時に聞いたことがある。
あの頃は家族の顔も見たことがなかったから、ただ複雑なんだとしか思っていなかった。
でも今はソラ先輩が一人暮らしをしていた頃に物寂しそうに見えた理由が分かった気がした。
「離れている時間が長いから昴くんはなるべくお兄さんと一緒に過ごしたいんだね」

