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愛おしいキミに極甘な林檎を
第51章 偽りの恋人

「それは……、頼まれていない」
「…………」
私は全く聞いてないから、きっとソラ先輩はコンビニに行って課長と会った時に話していたんだろう。
最近の朝は一緒に出るから会っていないと思うけど。
「困っていたので助けてくれたことには感謝します。でもこれでは私が浮気をしたみたいじゃないですか……」
「人は自分よりも不幸な人間を可哀想な目で見る。不憫に思わせておけば、相手を憎もうと思う気持ちも小さくなるはずだ」
「そうですけど……。婚約もしてるんですよ……?ただの浮気じゃ済みません……。
私は一体どうすればいいんでしょうか……」
もし火ノ浦さんがソラ先輩のお爺さんにこの事を漏らしたら、婚約は破棄になって慰謝料が発生して私は借金地獄。
おまけにソラ先輩も失う可能性がある。
立ち尽くしている間、課長に何か言われていた気はするけど全く頭に入ってこなかった。

