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愛おしいキミに極甘な林檎を
第58章 初恋の人

他の人に聞こえないようにぼそぼそと呟く潮崎さん。
ここで違うと言っても信じてもらえなさそうだから触れないことにする。
陸田さんにも散々からかわれたから慣れたものだ。
「はいはい。その課長に怒られるので早く仕事しましょうね」
拗ねる潮崎さんをあしらいながら仕事を進めて、時間が刻々と平和に過ぎていく。
昼休みになるとソラ先輩から【可愛いお弁当をありがとう。美味しかったよ】っとメッセージが届いていて温かい気持ちになる。
帰ってから本日のメインを渡すのが楽しみだ。
ソラ先輩はきっと今日も残業があると思う。
だから私が先に帰って、出迎えてキスをすると共にチョコを渡す……。仕事をしながら脳内でこんなシュミレーションをして備えた。
でもその予想に反して、ソラ先輩は今日は定時で仕事を終えて私の計画が潰れてしまった。
それに、定時を過ぎても課長にまだチョコを渡せていない……。
仕方なくソラ先輩に残業あると言って、課長と二人きりになれるタイミングを探っていた。
「乙羽、待たせてすまないな。あと少しで仕事が終わるから座って待っていてくれ」

