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愛おしいキミに極甘な林檎を
第58章 初恋の人

定時を過ぎてから社内で適当に時間を潰して、仕事場に戻ってきた時には課長だけしか残っていなかった。
「今日は彼氏と帰りますので大丈夫です。私のことは気にしないで早めに帰って休んでくださいね」
「そうか。気をつけて帰ってくれ」
本音で話し合ってから二人きりになると男と女ではなくて、上司と部下の関係になっていた。
それは潮崎さんがからかってきても同じ。
でも入社した時よりもさばさばしている気がするのは、何度も燃え上がった恋の炎がやっと消えたからなんだと思う。
帰り支度をしてから課長のデスクに近づき、肩に掛けたトートバックの中から渡そうと思っていた物を取って差し出した。
「課長、いつも送ってくれてありがとうございます。少しですけど、受け取ってください」
「ああ……、ありがとう。……今日もらった中で一番豪華だ」

