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愛おしいキミに極甘な林檎を
第58章 初恋の人

他の課から戻って来る時に、ラッピングをされた小さな箱を持っていたからバレンタインチョコをいくつかもらったんだろう。
容姿も良くて優しいから他の課の女性からも目を付けられているみたいだ。
一方、私が渡した物は大きい箱に入っている市販のチョコとお菓子の詰め合わせ。
一日では食べきれない量が入っている。
これも那砂さんからのおすすめのお菓子。
「帰りに送ってもらっているお礼も兼ねてこの量ですので」
「今年も手作りかと思ったが違うんだな」
「彼氏もあまりいい気をしないのでやめました。人気商品ですから私の作ったものより美味しいですよ」
にっこりと笑ってそう言うと、課長は受け取ったお菓子の箱を置いてから椅子を後ろへ引いて私の方に体を向けた。
「……そうか。もうすぐ結婚するんだもんな」

