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愛おしいキミに極甘な林檎を
第60章 夢見ていたシアワセの未来



終わったことをわざわざ言わなくてもいいだろうと思いながらハラハラする。


不安になりながらもソラ先輩の顔色を伺うとピタリと目が合った。


私の思っていることが伝わったのか、安心させてくれるように笑顔を見せてくれてから郁哉さんの方を向いた。



「ここまで風子のことを大切に思う人が傍に現れて正直焦りました。婚姻届を書いたって聞いた時には、郁哉さんに風子を奪われるかと思ってヒヤヒヤしましたよ」


「そうは見えなかったがな」


「繕っていただけですよ」


「さすが、大魔王は違うな。……ムキになって本当に悪かった。せっかくもらったチャンスもキミの言うとおり届かなかった」


課長に向けられたのは切なそうな顔。


だけど、どこかスッキリと笑っているようにも見えた。



「久しぶりに全力で誰かを好きになれて、忘れていたものを取り戻せた気がする。……ありがとう」


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