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愛おしいキミに極甘な林檎を
第61章 真実の愛と花嫁の決意



すぐにこうなる前の自分に戻って、仕事もして、家事もして普通に暮らしたいのに……。


傘もささずにマンションの玄関から出て走り、ザアザアと強く降る雨に服があっという間にずぶ濡れになる。


周囲は暗くて雨の日だからか誰も歩いていない。


マンションの近くはいつも歩いていたと思うのに、ここがどこなのかでさえも分からない。


今の時間についていけなくて私だけが取り残されている。



「っ……、ううっ……。うわぁああん……」


病院で目を覚ましてからその不安を抱えてずっと我慢してきた。


でもひとりになった瞬間、堪えていたものが溢れ出して、涙が流れると共に胸が苦しくなった。


その涙は雨と混じって頬を伝う。


冷たい雫が零れ落ちる。




足を止めて泣いていると、空から降り続いていた雨を避ける傘が頭上に現れた。


「……運動するなって言われているだろ。まだ走っちゃいけないよ」


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