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愛おしいキミに極甘な林檎を
第65章 番外編:Totus tuus


結婚することもはっきりと断ったし、仕事でも迷惑を掛けているから遂に私のことが許せなくなったとか……。


でも脅された時に言われたことは“私にとって不都合な話”だったはず。


不都合な事をする……ではなかったと思う。


だけど、時間が経つにつれて郁哉さんとこの前に話した内容の記憶が曖昧になっていく。


これは私が過去に記憶喪失になったせいというわけではなく自然のこと。

四日前に自宅で食べた朝ご飯がなんだったのか思い出せなくなると同じようなものだ。



不都合な話……、不都合な話……、不都合な事……。


私を脅しておいて実は間接的にソラ先輩になにか危害を加えようとか……?

いや、考えすぎだ。郁哉さんはそんな人ではないと思いたい。そんな人ではないはず。


「乙羽さーん。休憩終わったから仕事しなよー」

「あっ、はーい。すみません」


同僚に注意されてデスクに戻り、書類を手にして仕事へと戻る……フリをしながら郁哉さんのことを考える。


考えすぎてなんだかよく分からなくなってきたけど、この状態は普段より警戒しておくに越したことはないようだ。


郁哉さんの気持ちがまた分からない……。


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