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愛おしいキミに極甘な林檎を
第65章 番外編:Totus tuus
「なんだ?」
私はゆっくりと瞬きをしてから郁哉さんの瞳をまっすぐに見た。
「我儘かもしれないですけど……。
私は、課長……じゃなくて郁哉さんに幸せになってもらいたいです。
いつか私のことを忘れて、心から笑えるくらいに……」
すると、郁哉さんは困ったような顔をしてふっと鼻で笑った。
「文句じゃないし、難しいお願いだな。
幸せになっても乙羽のことは一生忘れないと思う。
……裁縫セットを取ってくるから待っていてくれ」
立ち上がってからジャケットを脱ぎ、私の膝の上に掛けてくれた。
そして、郁哉さんは振り向かずに休憩室を出ていく。
パタンとドアが閉まったあと、肩に入っていた力が抜ける。
「おっ、驚かすな!
いつからそこにいたんだ……!?」
でも、そのあとすぐに郁哉さんの驚いた声が聞こえてくる。
「今来たところですけど」
潮崎さんの声が聞こえてきて、また緊張してしまう。
今、休憩室に入ってこられたら困る。
「って、あれ……。花城課長、どうしたんですか?
なんかマジで元気ない顔してますね」

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