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愛おしいキミに極甘な林檎を
第30章 低俗な野望と片思い


頬を膨らませて怒った那砂さんはどこかに行ってしまった。


「まったく。……困った幼馴染です」


ふうっと溜息をついた理人さんは私を強引に引っ張って玄関に向かって外に行こうとする。


「ちょっ、どこに行くんですか!?」



手錠で繋がれているせいで、行きたくもない方へ連れて行かれる。


力の強さは理人さんの方が強いから引かれたら私は従うしかない。

対等でないのが不愉快だ。


でももし繋がれている相手がソラ先輩だったらこの気持ちは違ったかもしれない。



まだボタンを閉じていないブラウスの胸元を押さえて庭先へ行く。


物置小屋を開けた理人さんは金槌を取り出して手錠の真ん中の鎖を外すように叩いていた。


「くっ、なかなか外れないですね……」

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