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愛おしいキミに極甘な林檎を
第30章 低俗な野望と片思い


その足音の人物は課長で私の方へ近づいてくる。


「完治したので大丈夫です。お騒がせしてすみませんでした。休んだ分、仕事を頑張ります」


ソラ先輩や理人さんのことで色々ありすぎて忘れていたけど、インフルエンザで会社を休んでいたことになっていたんだった。

今日は祖父が作り出したこの設定を貫かないといけない。



「つらいことがあったら頼ってくれ。もし婚約を破棄した件が引っ掛かっているなら気に病まなくていい」


私の頭に触れようと手を伸ばした課長は途中で引っ込めて困ったような顔で微笑み、自分のデスクへと向かって仕事に取り掛かった。


課長だけには休んでいた原因がインフルエンザではないことがばれているような気がした。


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