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私の欠けているところ
第9章 だから俺はその地獄から抜け出したくて


「教えてくれよ…時の事、全部」


そう言ったあと
俯く時に
軽くキスをすると

時は

ちょっと俺に
申し訳なさそうな顔をして
俺を見上げた


「何が…知りたい?」


「全部」


「全部って……」


「じゃあ…
どうしてそんなに
セックスが大事なのか

知りたい」




「うまく…説明できないかも…」



「いいよ

下手でもいい

知りたいんだ」



俺は
時を布団の中で抱きしめ

全部知っても
時にまた告白する

そう心に決めて
柔らかい
髪をなでた


部屋は
エアコンがきいて
少し寒いくらいで

こうして
抱きしめあってるのが

ちょうどよかった



「私ね…

あんまり
可愛がられてなかったの


両親に。


……家族に」



「家族?」



「うん。

理由は
よくわからないんだけど


私だけ


いつも
一人だった」



時の
意外な告白に
俺の心臓が音を立て
妙な不安がよぎった



「褒めてもらった記憶もないし

私だけ一人



よく




おじさんに
預けられてた」



おじさん…
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