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私の欠けているところ
第9章 だから俺はその地獄から抜け出したくて


そこまで話すと
時は
俺にギューッと抱きつき…

いや
抱きついたわけじゃない

時が
歯をくいしばったように
身体を硬くしたんだ



俺は
そんな時を
隙間がないほど
抱きしめて
背中をさすりながら

おじさんって…

前に言ってた
太った毛深い
嫌いだと言ってた奴じゃ…


と思った


「それは…

小学生のときだけ
だったんだけど



おじさんは
すごくお金持ちで

別荘ももってて



いつも

別荘にお泊りに行かされたの


おじさんは

何でも買ってくれて



優しいなって


思ってた」





「…うん」




「でも…


中学になって


高校生になって




気が付いちゃったの」





「……」




「私









おじさんに

いやらしいこと
されてたかもしれないって」




「…それって…」



正直

なんて言っていいか
わからなかった



俺が教えてと言ったのに



俺はそのとき

聞きたくなかったという思いと

言わせてしまった
という罪悪感で

頭の中が
ぐちゃぐちゃになっていた




「全部は覚えてないの

何があったのか



嫌で忘れちゃったみたいで…



でも

覚えてることもあって




太くて
毛深い手が

忘れられなくて

一緒にお風呂に入ってたのも
おじさんが
私の身体を洗ってたのも
時ちゃん…時ちゃんって
おじさんが呼ぶ声も
忘れられなくて
それがすごく嫌でっ…んっ」


少し興奮してる時の頰に手をやり
俺は
半ば無理矢理
時の唇に唇を重ねた

時は
呼吸が荒くなってて
うまくキスもできなくて
けど
何度も何度も
息継ぎをさせながら

俺は

時が喋るのを
遮ったんだ



とにかく時を

落ち着かせるために

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