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私の欠けているところ
第4章 俺のついた『嘘』のおかげだったんだけど


said 梶谷


はじめて
深海さんのことを
「時ちゃん」
と呼んだ夜
俺はなんだか眠れないでいた


深海さんと
うまく繋がりを持てたことが
嬉しかったのか
なんだかやけに
興奮してたのか…

理由は分からないけど
俺はベットに転がったまま
寝付けないでいた


深海さんは
もう寝てるよな…

そう思いながらも
深海さんのLINEのアイコンを
携帯に表示させ
お互いのやり取りを
読み直したりした


なんでもない時
相談がある時
寂しい時…
勇気を出さなくても
連絡して相手してもらえる関係

それが
俺と深海さんの関係だと
説明したんだけど
俺にとって深海さんは
一番勇気のいる相手なんだなと
実感したりしていた


結局LINEすらできないまま
俺は仕方なく目を閉じて
その日の深海さんを
思い起こした


深海さん
なんか可愛いんだよな…

すぐ照れるし
折れそうな細い指してて
酔うと
胸元が赤くなる

歳上で
しっかりしてるんだけど
なんだか放っておけなくて…

そういえば
深海さんの『欠けてる』って
なんのことなんだろ

矢部さんの言った
『けど』と
何か繋がりがあんのかな…


あーーー
ダメだ

目を閉じたって
全く眠れないじゃん


ならいっそ…


俺は脳裏に
もう一度深海さんを映し出し
そっと
赤らんだ鎖骨に指を伸ばした

すると
深海さんは
少し照れながら目を閉じて
顎を軽く上げ

俺は
深海さんの
少し濡れた唇に……


ブブーッ

「うわっ」

その時

俺の携帯に
LINEが届いたんだ






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