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第1章 抱かれる女
私は歳上が好き。

それも自分の父親やおじいちゃんに近い年齢の男性が好き。

両親が小学校の頃離婚。

私は父が大好きだった。

「好きな人ができたんですって」

母はとても冷静な人だった。

「苗字を変えたく無いなら、あなたはそのままで良いのよ?」

「ううん。ママの苗字で良い」

「そう。分かったわ」

父は母のこんな所が好きだったんだと思う。

「パパと一緒に住んでも良いんだぞ?」

父はそう言ってくれた。心からそう思ってくれてるのがわかったから、私はそれで充分だと思った。

…その時はそう思ってた。

「新しい方と一緒なんて、ママ心配で……あなたはママと住んだ方が良いわ。新婚生活なんだし…。」

母は、父をとても愛していた。


…体裁を気にする人。

父は、こんな時ですら泣きもせず喚きもしない母のその冷静さが、最期には可愛気無く思えたのかも知れない。

好きな部分が嫌いになって、長所が短所。

…みんな自分勝手だ。

私は、 15歳で

白井 好(しらい こう) になった。

母名義で購入したマンションから父が出て行き、私と母は今のマンションに住み続ける事になった。

父は会社員。母は、球体関節人形の教室をアトリエで時々開いていた。
父が出勤後、母はマンションから歩いて数分のアトリエ兼仕事場へ。アーティストだけれど、時間限定で朝9時から夕方5時まで。

どんなに忙しくても、必ず5時までには戻って来て父と私の面倒を見てくれた。

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