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第3章 はみ出した口紅
「じゃぁちょっと説明するね…」

黒い服の男は、ペラペラと良くしゃべった。その声は余り耳に入らずぼーっとしていた。連れていかれたのは、通り傍の喫茶店。

「ねぇ…君ってちょっと天然?」

現実に引き戻されてハッとした。

「ご…ごめんなさい…」

「もぅ~だからぁ。時給はこれぐらいで…」

…キャバクラの勧誘?

「君みたいな子なら、週2…出てくれれば良いから」

「あ…はい…」

私はつい返事をしてしまった。

「おっ♪じゃあ面接に来てくれる?」

男は胸のポケットから名刺を差し出した。

「じゃぁお店で待ってるよ。マネージャーは強面だけど、良い人だから。じゃ」

そういって男は席を立つと、会計を済ませると店を出て行った。


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